最近、毎日新聞デジタルで「バスの来ないバス停」という記事を読みました。
山梨県の特別養護老人ホームで、帰宅願望のある利用者さんのために敷地内にバス停を設置しているという内容です。
「帰りたい」と話される利用者さんに対し、「帰れません」と否定するのではなく、「バス停に行きましょうか」と声をかけ、一緒にバスを待つ時間を過ごす。そんな取り組みに、とても温かいものを感じました。
調べてみると、この「バス停作戦」は日本だけではなく、ドイツやオランダ、カナダ、オーストラリアなど、世界各国の認知症ケアの現場で取り入れられているそうです。
もちろん、「利用者さんをだましているのではないか」という意見もあります。しかし、多くの現場で大切にされているのは、バス停そのものではなく、
「帰りたい」という気持ちに寄り添うこと
なのだと感じます。
認知症ケアを世界に目を向けてみると、その国ならではの文化や考え方が反映されています。
例えばオランダでは、認知症の方が街で暮らしているように生活できる環境づくりが行われています。施設の中にスーパーやカフェがあり、できるだけ普段の暮らしに近い生活を続けられるよう工夫されています。
興味深いのは、多くの国で「認知症の人を変える」のではなく、
「環境を工夫する」
という考え方が重視されていることです。
利用者さんの行動を制限するのではなく、安心して過ごせる環境を整える。その発想は、私たちの在宅支援にも通じるものがあるように思います。
今回の記事を読んで印象的だったのは、バス停があることよりも、
「帰りたいですね。バス停に行きましょうか」
と言える職員さんの余裕でした。
忙しい毎日の中でも、利用者さんの気持ちを受け止め、一緒に立ち止まる時間を大切にする。
そんなケアのあり方を、改めて考えさせられる記事でした。

↑の写真は、生成AIで作成したものです。あくまでイメージなので現実にはありませんが、こんなやさしい場所があるといいな、と思います。